chapter 13~ chapter 13 “電話” ~ ある日、電話がかかってきて私が取った。 「○○ですけど!お父さんいらっしゃる!?」 母の浮気相手の奥さんだった。父は出かけていていない。 「いません」と伝えるとその人は私に怒鳴りつける様にこう言った。 「あのねぇ、あなたのお母さんは、人間として最低の事をしてるのよ!!」 ムカついた。なんだコイツ。そんなこと私に言っても仕方ないだろう。 「あんたの旦那も同じ事してんだろ!とにかく父はいませんから!」 叩きつけるように受話器を置いた。 いったいこの人は父に何を言うつもりなのだ。 自分の旦那と私の母は同罪じゃないのか。 私の父は自分と同じ立場なんじゃないのか。 ましてや子供にそんな事を言って何になるというのだろう。 父の居る日に電話が鳴った。父は電話に出ると急に険しい顔になった。 「こっちは別にもう用事なんかねぇよ。なんで来るんだよ。 いいよ来なくて。謝ってもらいたくなんかないんだよ。 顔も見たくねぇんだよ。くんな。俺は会わない。」 電話を切った父に「誰?」と聞いた。 母の相手だった。どうしても父に会って謝りたいから今から来るという。 でた。また“すみません”だ。 しばらくするとまた電話が来た。さっきより家に近づいて電話してきたようだ。 「見たら殴りたくなるからくんな。」 そう言う父に「殴られても構いません」と言ったらしい。 「俺が人を殴ったりしたくないんだよ!迷惑なんだよ!」 それから少しづつ家に近づきながら電話を見つける度にかけてくる。 10回はかかってきたと思う。「今、○○まで来ました、これから行きます」と言って。 家から1番近くにある公衆電話からかかってきた時にいい加減イライラしている父は 「来るならさっさと来いよ!そんなに殴られたいなら殴ってやるから!!」と言って電話を切った。 「なんなんだ、こいつは!?ばかじゃないのか。 アイツはなんでこんなヤツがすきなんだ!!」父は苦しそうだった。 チャイムが鳴って父が玄関を開けると、男が「すみません」と言いながら現れる。 その途端、その男は父に殴られ後ろに飛んだ。 へたり込みながら「ありがとうございました」と言い、男は帰って行った。 いったい何がしたかったのだ。一発殴られたからそれで許されると思っているのか。 自分の自己満足の為に父にこれ以上苦しい思いをさせるのは止めて欲しかった。 ◆chapter 13について(日記) へ ◆chapter 14 へ |